観測局(モニタリングポスト)には、空間放射線量率を測定する装置のほか気象観測装置など多くの観測機器を装備しています。
空間放射線量率を監視するためには、自然放射線の低いレベルから、万一の事故の場合に観測される非常に高いレベルまで、幅広い測定範囲を確保する必要があります。観測局では、測定範囲の違う2種類の空間放射線量率測定装置を備えています。
県・丹生局
空間放射線(ガンマ線)が、ヨウ化ナトリウム(NaI)の結晶に当たると光を放つ現象を利用して計測を行うNaIシンチレーション検出器を使用しています。
通常、この検出器で計測した値をホームページで表示しています。
空間放射線が気体に当たると電離する(イオンと電子に分かれる)現象を利用して計測を行う電離箱を使用しています。
低線量検出器(左)と高線量検出器(右)
福井県が設置した観測局のうち原子力施設に近い11局では、連続浮遊塵測定装置(ダストモニタ)を装備し、外の空気を吸引して空気中の放射能濃度を測定しています。
この装置は、空気中の塵に含まれている放射性物質から放出されるアルファ線やベータ線を検出します。
通常、観測されるのは、空気中の天然放射性核種であるラドン娘核種です。ラドン娘核種には、アルファ線を放出する放射線核種とベータ線を放出する放射性核種がありますが、事故の場合に原子力施設から放出される放射性物質のほとんどはベータ線を放出するため、このホームページではベータ放射能濃度を表示しています。
これまでの観測から、通常状態のラドン娘核種による放射能濃度は0.1~数10Bq/㎥(ベクレル毎立方メートル)の範囲で変動していることが確認されています。
(Bq(ベクレル)は放射能の強さを表す単位)
ダストモニタ
天然の放射性物質による空間放射線量率や空気中放射能濃度は、気象条件の影響を受けて日々変動しています。このため、観測データに変動が見られた場合に、それが原子力施設に起因するものなのか、天然放射性核種による自然変動なのかを評価することが必要です。主な観測局には気象観測装置を装備し、観測地点における気象状況を把握しています。
雨雪量計は0.5mm以上の降水量を測定することができます。中央の白い部分が雨を受ける部分で、周囲に風防たてと鳥よけが設けられています。
雨雪量計
感雨計は、雨雪量計では計測できない0.5mm以下の降水を感知するための装置です。降水によりセンサー表面の電極部がぬれると電気が流れ、雨を感知する仕組みとなっています。
感雨計
風向と風速を同時に計測します。観測局では、風車型風向風速計が多く使われています。
風向・風速計
電子線量計観測局には空間放射線量率を測定する半導体検出器が装備されています。
半導体検出器は、検出器が小型の半導体素子であるため、小型の局舎で運用が可能で線量率の測定範囲が広いという特徴があります。一方、NaIシンチレーション検出器と比較すると、低線量率レベルで測定値がばらつき、稀にノイズによって大きな値が出力される場合があります。
電子線量計観測局
電子線量計観測局本体内部